「病院で検査をしてもらい、脊柱管狭窄症と診断されました。」
脊柱管狭窄症は『脊柱管』が『狭窄』している状態です。しかしながら、病院や一般の整骨院では脊柱管狭窄症について詳しく説明されている場合が多くはないと感じています。
ここでは脊椎管狭窄症のメカニズムについて詳しく説明していきたいと思います。
まず、背骨のところで何かあった場合は脊柱管狭窄症になります。椎間板ヘルニアやすべり症も脊柱管狭窄症の中に含まれます。脊柱管狭窄症は大きく2つの言葉が足されている状態です、すなわち「脊柱管」と「狭窄」です。
「脊柱管」は何かというと、脊髄が通っている所です。脳から出た命令が脊髄神経を通して全身に行きわたります。脊髄は大事な神経で、事故やケガで損傷してしまうと、そこから先の体が動かなくなってしまいます。大事な物なので脊髄は背骨で守られています。椎体・横突起・棘突起で囲まれていて、中が空洞になっており、その中を脊髄が通ります。脊椎は24個あるので、24個に連なったトンネルをイメージしてもらうと良いかと思います。
「狭窄」は、“すぼまってせまいこと”です。どうして狭くなるのかというと、1つ目は椎間板ヘルニアです。ヘルニアは”とびだす”という意味で、椎間板が飛び出して脊髄を圧迫している状態です。椎間板は真ん中の髄核をドーナツ型の繊維輪が囲む形で、背骨と背骨の間にクッションとして存在しています。背骨に捻り動作や上からの圧力がかかった場合、クッションである椎間板は、後ろ側の脊柱管内に飛び出します（前方は前縦靭帯や内蔵があるので出られない）その結果、中枢神経である脊髄を圧迫して椎間板ヘルニアになります。椎間板が飛び出て脊柱管をせばめているので、椎間板ヘルニアも脊柱管狭窄症の一部になります。
２つ目は、靭帯の肥厚です。靭帯の働きは関節の動きを制限することで、背骨には椎体の前後に前縦靭帯・後縦靭帯があり、その脊柱管内の後方に黄色靭帯があります。脊柱管の中にあるのは後縦靭帯と黄色靭帯で、後縦靭帯は腰を反らす動きを制限します。黄色靭帯は腰を屈める動作を制限しますが、人体のうち腰部は反らすよりも屈む方が可動域は広くなるため、黄色靭帯は柔軟性があります。そのぶん腰を反らす時は撓んで厚くなるため、脊柱管をせばめることになります。黄色靭帯による狭窄が靭帯性の脊柱管狭窄症です。
３つ目は、背骨の配列が乱れて椎間孔が狭くなる場合です。脊椎は伸展・屈曲・側屈・回旋します。通常は一列で並んでいますが、筋力低下だったり、背骨に無理な力が継続してかかった場合に、配列がずれてきたりしてしまいます。人体の構造では、歩行時では地面に足をついた瞬間に骨盤を後ろにもっていくパワーがかかります。足をつくときは体重が乗りますので、その分床を押すパワーが強くなり、反動で地面から突き上げる力が働いてくるのです。歩いている時に体は前に進みますので、腰は前に行き骨盤は後ろに行くという前後のパワーのズレがおこります。上位の背骨が下位の背骨より前方にズレるという状態になりますが、これが「すべり症」です。
狭窄症になる主なもの3つのパターンを紹介しました、これらがすべてではありませんが、脊柱管狭窄症は、何がどんなふうに脊髄を圧迫しているのか、というものが大元にあるため、椎間板ヘルニアも腰椎すべり症も脊柱管狭窄症の一部になります。
脊柱管狭窄症について、発生の機序・パターンについての説明でしたが、脊柱管狭窄症はあくまでも「脊柱管が狭窄している状態」だけであり、画像診断で脊柱管狭窄症の診断をされても、まったく無症状の場合もあります。脊柱管が狭窄されている状態でも痛みやしびれを全く自覚しない、背骨の変形がかなり強くても生活に支障のない方もいらっしゃいます。
最近の画像診断はかなり細かく見ることができるのですが、狭窄と痛み・しびれの関係は、まだ分からない部分もあるのです。
