脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛のときに安静にする事の重要性
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛の症状が強い方に聞かれることがあります。
「安静にすること以外で何か家で出来ることってありますか?」
少しでも早く症状を改善させるために家で出来るセルフケア的なことはないの?
という質問ですね。
セルフケアについての質問なのにこんな事を言うと怒られるかも知れませんが、個人的には痛みが強くて動けないくらいの状態であれば、安静にしていることが一番良いと私は本気で思っています。
ここでは腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛の患者さんが安静にすることの重要性について簡単に説明させていただきます。
安静とはどういうことか?
そもそも安静とはどういうことかについてになりますが、
「もちろん私はちゃんと安静にしています!」と言う人もいらっしゃいます。
治療家が言う安静というのは、特別な事をせずいつも通りの日常生活を過ごすということではありません。
安静というのはその人にとって痛い動作や姿勢を避けられるだけ避けて、出来るだけ楽な姿勢で長い時間過ごすということです。
私は「入院レベルで、なるべく布団で横になって休んでいてください」とお伝えしています。
これが本当に出来ている人(出来る環境の人)はそんなに多く無いと思います。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛というのは、腰の骨や軟骨・筋肉に負担がかかり神経を圧迫して発生する疾患です。
この骨や軟骨の変形している部分や疲労が蓄積した筋肉の神経圧迫の部分には強い炎症反応が発生します。
炎症反応は近くの神経を興奮させて感覚を過敏にさせるという特徴を持っています。
感覚が過敏になると、通常であれば何でもないような少ない負担や弱い刺激でも痛みを感じやすくなってしまいます。
この感覚の過敏性の影響で腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛の人は、日常生活の何気ないちょっとした動作や姿勢で痛みを感じてしまう状態になります。
つまり、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛の患者さんにとっては、普段通りの生活はというのは負担が大きいということになります。
そのため、いつも通りの日常生活を送っているのは、安静に出来ているとは言いがたい、となるのです。
もちろん、仕事などの影響でどうしても安静にできない人もいらっしゃいます。
それでもご自身が可能な限り努力して安静にする事が少しでもはやく症状改善することにつながります。
とことん安静にするということは実は決して楽な行為ではないと思っています。
やらなければいけない事や自分がやりたい事も我慢しなければいけません。
正直に言って周りのご家族や、もしくはお仕事なのであれば同僚などにも迷惑をかけてしまいます。
それぐらいしないと徹底的に安静にするということは出来ないのです。
具体的な事を言えば、家族の食事をつくったり食材を買いに出かけることも安静ではないのです。
後回しにして問題のない用事は後回しにして、自身の状態を回復させるのを最優先にする。
普段はなにげなくやっている家事とかだってパートナーや子どもに手伝ってもらっていただきたいのです。
手伝ってもらえないなら自分の体の状態を説明して納得してもらい、最低限の事だけすまして後はやっていただきましょう。
お仕事で重たい荷物を持たなきゃいけない場面でも、同僚に頼んで多めに持ってもらいましょう。
立っているのが辛いのに立ち仕事なのであれば、一時的でも立ち仕事じゃない部署に配置換えしてもらうだとか、デスクワークが辛いのであれば頻繁に立ったり歩いたりすることを許してもらうだとか・・・
周りの人に迷惑はかけますし、相手によっては嫌な顔をされることもありますが、それぐらいを覚悟しないと本当に安静にする事は出来ません。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経痛というのは、当然ですが日常生活の負担を減らせれば減らせるほど改善しやすくなります。
症状の重症度によっては限界もありますが、本当に徹底的に安静にすることができればそれだけで解決するケースもあります。
もちろん現実的に安静に出来ない人もいると思いますが、可能な限りで結構ですので安静に過ごす努力をしていただきたいと思います。
こういったことから、安静が患者さんご自身でできることで最も改善する可能性の高い方法だと考えます。