「保険証は使えますか?」 当院でもよく聞かれる質問です。
一般に整骨院では健康保険証を使って施術を受けることができます。
ただし、すべての場面で保険の適応となる訳ではありません。
そこで、整骨院で保険診療ができる範囲について説明いたします。
そもそも整骨院はどんな資格が必要かといいますと、
「柔道整復師」という資格が必要となります。
高校卒業後、都道府県知事が指定した養成施設(3年間以上の修学)か、文部科学省が指定した四年制大学において、解剖学・生理学・運動学・衛生学・病理学・公衆衛生学・外科学・一般臨床医学・関係法規・リハビリテーション学などを履修した後、国家試験を受験して合格した者が厚生労働大臣免許の柔道整復師となります。
医師免許に比べると在学期間も短く、難易度も軽いのですが、決して簡単に取れる資格ではありません。私もふと、試験前日は徹夜で勉強したことを思い出しました。
現在ではコンビニの数を超える整骨院ですが、保険診療ができるのは、とてもありがたい施設です。医療費の一部を支払うだけで施術が受けられるようになっているのです。
ただし、整骨院で保険診療ができる範囲は決められており、ルールが存在していて、全てにおいて健康保険が使える訳ではありません。
整骨院で保険診療ができる範囲は
急性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷に限られます。
このうち、骨折と脱臼は医師の同意が必要になります。
急性のとは、主にスポーツの場面とか、日常生活で転倒した、
といった場合でのケガということになります。
多くの整骨院では、基本的に痛めた組織に対してのみ、施術をしている所が多く、そこに対しての柔道整復術や物理療法(電気療法・温熱療法等)を主にされているのがメインとなってきます。
メリットとしては、保険施術ですので健康保険が適応され、窓口での自己負担が3割(年齢・所得に応じて1割〜2割)となる事です。
ただし、上記にも書いたように適応範囲は急性期などの症状に対してのみとなります。そのため、日常生活からくる首や肩こり・腰痛などは保険診療の適応外となっているのです。
保険診療を受けた場合のデメリットとしては、本来の悪くなってしまった部分以外に問題があった場合は原則として触ることができないので、根本的な施術にはならないという事です。(そもそもがケガをした場合にかかる場所ですので、傷めた所のみの施術となります)
整骨院の存在意義について思うことは、現在は昔に比べて、
・労働人口全体における肉体労働者の数が少なくなっている、
・子供が外で遊びにくい(子供の数も少ない)環境にある、など、
社会環境の変化によって、整骨院の保険診療にかかる患者さんは少なくなっているように感じます。
デスクでPCを使って仕事をやっている人数が増えてきていますので、
急性のケガに遭遇する場面が少なくなるのは、当然ですね。
ここまで、整骨院の保険診療のルールについての説明でした。
このあとは整骨院のかかり方について、説明いたします。
整骨院で保険施術を受けるときは
- 負傷原因を正しく伝える。(どういう場面で、どのようにして傷めたのか)
- 療養費申請書の内容を確認してから、必ず自分でサインする。
- 領収書をもらう。
- 今の状態を説明してもらい、どの位の期間で良くなるのか説明してくれる先生は信頼できます。
ここで注意をしたいのが、②の療養費の事ですが、
これは、受領者が柔道整復師に対して委任をして、
本人に代わって施術費を健康保険組合や協会けんぽ等に
請求し、支払いを受けるための必要な書類となっています。
間違いを防ぐためにも、委任欄に記入するときは傷病名や通院日数、金額等を確認して、白紙の紙にサインをしてしまわぬようにしましょう。
近年、ルールを守らない一部の柔道整復師における不正受給が取り沙汰されるケースがあり、ニュースに取り上げられていることがありますが、非常に残念に思います。
柔道整復師は日本医療の一端として、国民に広く受け入れられ、民族の医学として伝承されてきたものとして、厚生労働省の助力もあり、2001年にWHO発行の「伝統医療と相補・代替医療に関する報告」には日本の伝統医療として紹介されました。
私も、柔道整復師であり、保険施術は行ってはいないのですが、
日本古来のルーツを守り、この時代における柔道整復師の役割を考え、患者さんだけでなく、関わる人すべてが幸せになるように、この仕事を続けていきたいと思います。
少しでも、参考になればうれしいです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました!