筋肉についての話
「姿勢改善」・「骨格の歪み改善」・「慢性痛改善」など、整骨院や整体院に期待する事は人それぞれかと思いますが、我々が行う施術の多くは、筋肉に対しての施術になります。
体を動かしたり、姿勢を変えたりするのは、筋肉が動くことにより、動作となり、連続して動くと運動になります。
そこで、私たちがメインで施術を行う筋肉の仕組みについて、説明していきたいと思います。
筋肉の種類
筋肉を使うことにより、私たちは体を自由に動かすことができます。脳の命令に従って、立ち上がったり、物を持ったりできるわけですが、自分の意志で勝手に動かすことのできない筋肉も存在します。
筋肉には「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3種類があります。
- 骨格筋:主に骨に付いている筋肉であり、体を動かす働きをします。随意筋と言われ、多くは自分の意志で動かすことができます。一般的に筋肉と呼ばれているものは骨格筋です。
- 心筋:心臓を拍動させる筋肉です。1分間に60回収縮する人で、1日では86,400回収縮します。不随意筋と言われ、もちろん自分の意志でコントロールすることはできません。自律神経の支配をうけます。
- 平滑筋:血管・消化器官・子宮・膀胱などを動かします。腸の蠕動などは平滑筋が行います。自律神経の支配を受けます。
筋肉の構造(骨格筋)
一般的な筋肉である骨格筋の構造を説明いたします。筋肉は「筋繊維」と呼ばれる長い繊維が束になり「筋束」を構成します。筋束が集まったものが「筋肉」です。
筋繊維1本1本が、骨格筋の細胞に該当し、全町50㎝になるものもあります。そして筋繊維の細胞質には、「筋原線維」と呼ばれるタンパク質の束が詰まっています。
筋肉の収縮の仕組み
筋肉の働きは、エネルギーを使って「縮む」ことです。これより、筋肉の収縮の仕組みについて説明いたします。
筋肉を収縮させるのは、筋繊維の中に存在する筋原線維です。筋原線維は、「太い繊維」と「細い繊維」の2種類が規則正しく交互に並んでいる構造をしています。太い繊維は「ミオシン」、細い繊維は「アクチン」というタンパク質で出来ています。
脳から脊髄を通し、筋肉を収縮させる命令が届くと、太い繊維(ミオシンフィラメント)が細い繊維(アクチンフィラメント)をたぐりよせて、2種類の繊維がスライドするしくみになっており、その結果として、筋原線維全体が短くなり、筋肉の収縮が起こります。
私たちは相反する作用の骨格筋を自由自在に収縮・弛緩を繰り返し動かすことにより、歩いたり、物を持ち上げたりすることができるのです。
筋力を低下させないようにしましょう
筋肉の働きは、手足を動かすだけでなく、体を支えたり、熱を賛成するなどの重要な役割があります。寝たきりや骨折のギプス固定など、体を一定期間使えない状態が続くと筋肉は小さくなり、機能が低下してしまいます。生活に支障が出てくる場合もあるので、筋肉は大きさを維持することが必要になります。
筋肉を大きくする方法とは
筋肉を大きくする方法は2つあります。
1つは筋肉を構成する筋繊維1本1本の中で「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質がたくさん合成されることです。説明すると、私たちが定期的なトレーニングを行うと、筋繊維の中ではタンパク質を合成する器官である「リボゾーム」が増えることにより、アクチン・ミオシンの合成量が増えます。その結果、筋繊維そのものが太くなり、筋肉が大きくなります。
もう1つは筋繊維の数が増えることによるものです。これは、新たな筋繊維を作り出す元となる細胞(幹細胞)である「サテライト細胞」の働きによって起こります。
サテライト細胞は筋繊維の外側に付いており、筋肉が傷ついた時に修復し再生する機能を持っています。筋肉が傷ついた時、もしくはトレーニングなどで筋肉に刺激や負荷がかかった時はサテライト細胞が細胞分裂を起こします。
そして、増殖した細胞が筋繊維に融合したり、新たな筋繊維が生み出されることで筋繊維全体の数が増え、筋肉が大きくなります。
筋肉の種類について
筋肉の種類には、大きく分けると「速筋繊維」と「遅筋繊維」があります。
速筋繊維は素早く収縮することができる筋肉で、瞬発力やパワーが必要な運動に適しています。大きな力を瞬時に発揮することが出来るのですが、持久力がなく疲れやすい筋肉です。
速筋は、筋肉が白っぽく見えるため「白筋」とも呼ばれます。また、遅筋繊維に比べて、筋繊維が太くなりやすい特徴があります。
これに対し、遅筋繊維はゆっくり収縮する筋肉で、瞬時に大きな力を発揮することはできませんが、酸素を蓄えるミオグロビンをたくさん含むため、持久力に優れているという特徴があります。そして、ミオグロビンを多く含むことから赤っぽく見えるため「赤筋」と呼ばれます。
また、遅筋繊維は速筋繊維に比べて太くなりにくく、体積も小さくなる特徴があります。
陸上競技の種目でいうと、長距離選手は短距離選手に比べて筋肉が細い傾向になります。特にマラソン選手は遅筋繊維の占める割合が多くなるため、かなりの運動量をこなしているにも関わらず、足が引き締って細くなると考えられています。一方、100m走の選手は速筋繊維が多くなるので、筋肉が太くなり、ゴリゴリな体つきをしていますね。
ここまで、筋肉の基本的なお話でした。
私は、身体のことについて興味を持ち、患者さんにずっと健康な状態を保っていってほしいという気持ちでこの仕事に携わっております。また知識の1つとして役に立てば嬉しく思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。